「内々に」の読み方は「ないないに」「うちうちに」どっち?
「この件は内々にお願いします」「まだ内々の話です」といった表現を、ビジネスや日常会話で見かけることがあります。
ここで迷いやすいのが、「内々」の読み方です。
「うちうち」と読むのか、それとも「ないない」と読むのか、どちらが正しいのでしょうか。
結論からいうと、「内々」には「うちうち」と「ないない」の両方の読み方があります。
そのため、「内々に」を「ないないに」と読むこと自体は間違いではありません。
国語辞典でも「内々」には「うちうち」「ないない」の両方が掲載されており、どちらにも「表立たずに」「ひそかに」「限られた範囲で」といった意味があります。
「ないないにって読んだら間違いなの?」と不安になっていた人も、安心して大丈夫です。
結論|「ないない」「うちうち」はどちらも正しい読み方
「内々」は、次のどちらでも読むことができます。
- うちうち
- ないない
しかも、意味にもかなり共通する部分があります。
「他人に知られないようにする」「表立てずに進める」「限られた人の間だけで扱う」といった場面では、どちらの読み方にもつながります。
ただし、まったく同じというわけではありません。
「うちうち」には「家の中」「家庭の内部」「身内や限られた範囲」といった意味もあり、「ないない」には「表向きにせず、ひそかに」という副詞的な意味があります。
「うちうち」と読む場合の意味
「うちうち」は、もともと「内(うち)」を重ねた言葉です。
辞書では、「家の中」「家庭の内部」「表立たないこと」「内輪のこと」「ひそかに」といった意味が確認できます。
たとえば、
「内々で相談する」
という場合には、「関係する人たちだけで相談する」「外部には広げずに話し合う」といった意味になります。
「うち」という言葉が持つ、「こちら側」「身内」「自分たちの範囲」という感覚が残っていると考えると、意味をつかみやすいでしょう。
「ないない」と読む場合の意味
「ないない」と読む場合も、「表立てない」「ひそかに」「内密に」といった意味で使われます。
たとえば、
「このことは内々にしておいてください」
であれば、「このことは公にせず、限られた人の間だけにとどめてください」という意味になります。
また辞書には、「内々彼に当たってみた」のように、非公式に働きかける意味で使われる例も掲載されています。
つまり、「ないない」は誤読ではなく、きちんと辞書に掲載されている読み方です。
「ないない」と「うちうち」の違いを比較
2つの読み方を簡単に整理すると、次のようになります。
| 読み方 | 主な意味・ニュアンス | イメージ |
|---|---|---|
| うちうち | 内輪で、家や身内の中で、表立たずに | 限られた範囲の中 |
| ないない | 表立たずに、ひそかに、内密に | 公にしない |
| 共通する部分 | 他人に広く知らせずに扱う | 非公開・内密 |
ただし、実際には両者の意味は重なる部分が大きく、「この文では必ずこちら」と明確に分けられない場合もあります。
「ないないは間違い、うちうちだけが正解」と覚えるのではなく、「内々には2通りの読み方があり、意味も一部重なっている」と覚えておくのが正確です。
「内々に」の意味とは?
「内々に」は、簡単にいえば「表立てず、限られた範囲で扱うこと」を表す言葉です。
特に、
- まだ広く知らせたくない
- 正式に発表する段階ではない
- 関係者だけで話を進めたい
といった場面で使われます。
たとえば、会社で上司から、
「この件は正式発表まで内々にお願いします」
と言われた場合は、「まだ他部署や社外には広めず、限られた関係者だけの情報にしてください」という意味だと考えればよいでしょう。
「内々にお願いします」とはどういう意味?
「内々にお願いします」は、日常的な言葉に置き換えると、
「この話はまだ公にしないでください」
という意味になります。
ただし、「絶対に誰にも言うな」という強い命令とは限りません。
「正式発表までは関係者だけにとどめてほしい」「今はまだ広めないでほしい」といったニュアンスでも使われます。
そのため、人事、企画、新商品の情報、未確定の方針など、まだ正式に発表できない情報を扱う場面でよく登場します。
「内々に」は「秘密にする」という意味?
「秘密にする」と近い意味ですが、必ずしも完全に同じではありません。
「秘密」というと、誰にも知られてはいけない情報をイメージすることがあります。
一方、「内々に」は、「今の段階では公にせず、限られた範囲で扱う」という意味でも使えます。
たとえば、
「異動の件は正式発表まで内々にお願いします」
という場合、異動そのものを永久に秘密にするわけではありません。
今はまだ発表する時期ではないため、それまでは情報を広げないでほしいということです。
「内々で」と「内々に」の違い
「内々で」と「内々に」は、似た場面で使われます。
たとえば、
「この件は内々で相談しましょう」
「この件は内々に相談しましょう」
のどちらも、「限られた範囲で相談する」という意味で理解できます。
ただし、文によって自然な形は変わります。
「内々で話し合う」「内々で処理する」のように、「限られた範囲の中で」という意味を強く出す場合には「内々で」が使いやすくなります。
一方、「内々に伝える」「内々に相談する」のように、動作の仕方を表す場合には「内々に」が自然です。
「内々に」を使った例文
「内々に」は、特にビジネスで使われることの多い言葉です。
意味だけでなく、実際の例文を見ておくと使い方が理解しやすくなります。
ビジネスで使う例文
代表的な例として、次のような使い方があります。
- 「この件は、正式発表まで内々にお願いします。」
- 「新しいプロジェクトについて、現在は内々に調整しています。」
- 「異動については、本人に内々に伝えています。」
- 「今後の方針について、まずは関係者の間で内々に相談しましょう。」
- 「正式決定ではありませんが、内々に了承を得ています。」
共通しているのは、まだ広く公表する段階ではない情報を扱っていることです。
ビジネスメールで使う例文
メールでは、次のように使うことができます。
現在検討中のプロジェクトにつきまして、内々に共有いたします。
まだ正式決定ではございませんので、現時点では関係者内のみでのお取り扱いをお願いいたします。
また、
まだ内々の段階ではございますが、今後の方針についてご相談させていただければと思います。
という使い方もできます。
ただし、「内々にお願いします」だけでは、どこまで情報を共有してよいのか分かりにくい場合があります。
重要な情報であれば、「正式発表までは社外への共有をお控えください」など、具体的な範囲や期限まで伝える方が誤解を防げます。
日常会話で使う例文
「内々に」は日常会話でも使えます。
たとえば、
- 「あの話、まだ内々にしておいてね。」
- 「まだ内々の話なんだけど、来月引っ越すかもしれない。」
- 「詳しいことが決まるまでは内々で話しておこう。」
といった使い方です。
ただし、友人や家族同士では「内緒にしてね」「まだ誰にも言わないでね」といった表現の方が自然な場面もあります。
「内々に」は日常語として使えないわけではありませんが、少し改まった響きを持つ言葉だと考えておくとよいでしょう。
「内々に」の言い換え・類語と違い
「内々に」と似た表現には、「内密に」「非公式に」「内緒に」「ひそかに」「水面下で」などがあります。
意味は似ていますが、使われる場面やニュアンスには違いがあります。
「内密に」との違い
「内密に」は、「他人に知られないようにする」という意味で使われます。
「この件は内密にお願いします」
といえば、秘密として慎重に扱ってほしいというニュアンスが強くなります。
「内々に」と意味の重なる言葉ですが、文脈によっては「内密に」の方が秘密性を強く感じさせます。
「非公式に」との違い
「非公式に」は、正式な手続きや公式発表ではないことに重点があります。
たとえば、
- 「非公式に会談した」
- 「非公式に打診を受けた」
といった使い方です。
「内々に」も公になっていない状況を表しますが、「非公式に」は「公式か非公式か」という立場や形式を示したいときに向いています。
「内緒に」との違い
「内緒に」は日常会話で非常によく使われます。
「この話は内緒にしてね」
のように、家族や友人との会話にも自然です。
一方、「内々にお願いします」は、職場や改まった場面でも使いやすい表現です。
同じ「広く知らせない」という意味でも、場面に応じて使い分けると自然です。
「ひそかに」との違い
「ひそかに」は、人に知られないように行動したり、自分の心の中だけで思ったりする場面でも使えます。
- 「ひそかに成功を願っていた」
- 「ひそかに準備を進めていた」
という使い方です。
一方、「内々に」は複数の関係者の間で情報を限定して共有する場合にもよく使われます。
「水面下で」との違い
「水面下で」は、表には見えないところで物事が進んでいることを表す比喩表現です。
- 「水面下で交渉が進んでいる」
- 「水面下で調整している」
などと使います。
「内々に」が情報の扱い方を表す場面でも使われるのに対し、「水面下で」は表には見えないところで進んでいる動きに焦点が当たりやすい言葉です。
「こっそり」との違い
「こっそり」は日常的でくだけた表現です。
「こっそりプレゼントを用意した」
のように、必ずしも重要な秘密を意味するわけではありません。
ビジネスで「こっそり進めています」と言うと軽く聞こえたり、不透明な印象を与えたりすることがあります。
改まった場面では、「内々に」「非公式に」「内密に」などを文脈に合わせて選んだ方がよいでしょう。
| 表現 | 主なニュアンス | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 内々に | 公にせず限られた範囲で | ビジネス・一般 |
| 内密に | 他人に知られないよう慎重に | 秘密性の高い話 |
| 非公式に | 正式・公式ではない | ビジネス・報道 |
| 内緒に | 人に知らせない | 日常会話 |
| ひそかに | 人知れず | 行動・心情 |
| 水面下で | 表に見えないところで進める | 交渉・調整 |
| こっそり | 人に気づかれないように | カジュアルな会話 |
「内々に」を使うときの注意点
便利な言葉ですが、「内々に」を使えば必ず丁寧になるわけではありません。
内容によっては、「隠れて何かを進めている」という印象を与えることもあります。
「内々に」が適している場面
「内々に」が使いやすいのは、次のような場面です。
- 正式発表前の情報を共有するとき
- 人事情報を限られた関係者で扱うとき
- 未確定の企画について相談するとき
- 正式決定前に関係者の意見を聞くとき
- 非公開の段階で調整を進めるとき
たとえば、
「異動については正式発表まで内々にお願いします」
であれば、情報を限定する理由が分かるため自然です。
「内々に」が誤解を招く場面
一方、
- 「内々に契約を進めました」
- 「内々にお金を動かしました」
などと言うと、文脈によっては手続きが不透明だったように受け取られる可能性があります。
「内々に」という言葉そのものに悪い意味があるわけではありません。
しかし、契約や金銭など透明性が求められる話では、何を非公開にしているのかを明確にすることが大切です。
ビジネスメールで使うときの注意点
機密性の高い内容を扱う場合、「内々にお願いします」という表現だけに頼るのは避けた方がよいでしょう。
たとえば、
「正式発表日の○月○日までは、社外への共有をお控えください」
のように、期限や共有範囲を具体的に伝える方が確実です。
「内々に」は便利な日本語ですが、情報管理そのものを曖昧にしてよいという意味ではありません。
「内々」はなぜ2通りに読める?
「内々」を「うちうち」と読む人もいれば、「ないない」と読む人もいるため、
「なぜ同じ漢字なのに読み方が2つあるの?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
「々」は同じ漢字を繰り返す記号
「内々」の「々」は、「同の字点」などと呼ばれる繰り返しの記号です。
「人々」なら「人+人」、「時々」なら「時+時」と同じように、「内々」は「内+内」を表しています。
そのため、「々」そのものを「うち」や「ない」と読んでいるわけではありません。
前の「内」と同じ漢字をもう一度繰り返していると考えると分かりやすいでしょう。
「内」の読み方によって「うちうち」「ないない」になる
「内」には「うち」という読み方のほかに、「ない」という音読みがあります。
そのため、
内(うち)+内(うち)=うちうち
内(ない)+内(ない)=ないない
という2通りの読み方が生まれます。
辞書の解説では、「うちうち」の方が古くから使われ、のちに字音による「ないない」という読み方が生まれたと考えられていることも示されています。
つまり、「ないない」は最近できた誤読ではなく、歴史的にも使われてきた読み方なのです。
「内々」の由来・語源
「内々」という言葉を理解するポイントは、「内」という漢字を重ねていることです。
「内」を重ねた「内々」という表現
「内」は、「外」に対する「中・内側」を意味する言葉です。
そこから、「身内」「内輪」「自分たちの範囲」といった意味にも広がりました。
「内々」と重ねることで、「より内部のこと」「表に出さないこと」「内輪で扱うこと」といった意味で使われるようになっています。
実際、「うちうち」には古くから「家の中」や「表立たないこと」などの用例があり、「ないない」にも古い文献で「ひそかに」という意味の使用例が確認されています。
「公にしない」という意味で現在も使われる
現代では、「内々に」という言葉を家そのものについて使うより、
- 「内々に相談する」
- 「内々に伝える」
- 「内々に調整する」
のように、情報や話し合いを表立たせないことを示す表現として目にする機会が多いでしょう。
特にビジネスでは、正式発表前の情報や未確定事項を扱うときに便利な言葉です。
「内々に」に関するよくある質問
「内々に」は「ないないに」と読んでも間違いではない?
はい、間違いではありません。
「内々」には「うちうち」と「ないない」の両方の読み方があり、辞書にも掲載されています。
「ないないは誤読」と決めつけてしまわないよう注意しましょう。
「内々にお願いします」とはどういう意味?
「この話を表立たせず、限られた範囲にとどめてください」という意味です。
ビジネスでは、正式発表前の情報などについて使われることがあります。
「内々に」と「内密に」はどう違う?
どちらにも、人に広く知らせないという意味があります。
「内密に」は秘密として扱う意味を強く感じさせる場合があり、「内々に」は「限られた範囲で」「まだ公にはせず」といった場面にも使いやすい表現です。
ただし、実際のニュアンスは文脈によって変わります。
「内々で」と「内々に」は違う?
意味は近いですが、文中での働きが異なります。
「内々で相談する」なら「限られた人たちの中で」という意味が分かりやすく、「内々に伝える」なら「表立たない形で」という意味が自然です。
「内々に」は古い言葉?
古くから使われている言葉ですが、現在でも使われます。
特に、ビジネスや改まった会話で「まだ公表前であること」「限られた範囲だけで扱うこと」を表す場合に便利です。
「内々に」は英語で何という?
文脈によって訳し方が変わります。
たとえば、
「このことは内々にしておいてください」
なら、英語では「Please keep this to yourself.」のように表現できます。
また、文脈によっては「privately」「secretly」「informally」「unofficially」などが使われます。
日本語の「内々に」を、そのまま1つの英単語に置き換えるのではなく、何を伝えたいのかによって訳し分けるのが自然です。
まとめ|「内々」は「ないない」「うちうち」の両方を覚えておこう
「内々」の読み方で迷ったときに、最も大切なのは「ないない」「うちうち」のどちらも存在するということです。
「ないないに」と読んだからといって、必ずしも間違いではありません。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 「内々」には「うちうち」「ないない」の両方の読み方がある
- どちらにも「表立てない」「ひそかに」といった共通する意味がある
- 「うちうち」には「家の中」「内輪」という意味もある
- 「内々にお願いします」は「公にせず、限られた範囲にとどめてください」という意味で使われる
- ビジネスでは正式発表前の情報や未確定事項などで使いやすい
「ないないとうちうち、どっちが正しいの?」と迷ったら、片方だけが正しいのではなく、両方の読み方があると覚えておけば大丈夫です。

