月のクレーターが多い理由とは

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月のクレーター

月のクレーターが多いのはなぜ?その理由と月の「傷跡」が語る物語

最初に答えをお伝えすると、月の表面にクレーターがたくさんあるのは「大気がないから隕石が直撃し、しかもその跡が何億年も消えずに残っている」からです。

夜空に浮かぶお月さまをじっくり見たことはありますか?ぼんやりとした模様が浮かび上がって見えることがありますが、あれこそが「クレーター」と呼ばれる地形です。

でも、どうしてあんなにたくさんのクレーターが月には存在しているのでしょうか?そして、なぜそれが消えずに残っているのでしょう?


クレーターとは何か?宇宙からの衝突が作り出す「へこみ」

クレーターとは、小惑星や隕石(いんせき)などの天体が猛烈なスピードで表面に衝突したときにできる「丸いくぼみ」です。

ぶつかった瞬間に大きなエネルギーが生まれ、地面が吹き飛び、まるでスプーンですくったような穴ができます。この現象は「衝突クレーター」と呼ばれています。

月にあるクレーターの大きさはさまざまで、直径数メートルの小さなものから、数百キロにもおよぶ巨大なものまであります。人間の歴史よりもはるか昔、太陽系がまだ荒々しかった時代に多くが作られたと考えられています。


なぜ月にはクレーターが多いのか?3つの核心理由

① 月には空気のバリアがほとんど存在しない

地球には厚い大気があります。私たちが普段呼吸している空気ですね。この大気は、宇宙からやってくる隕石を「燃やす役目」も持っています。

流れ星の正体も、宇宙からの小さな石が大気とぶつかって燃えている姿です。ところが、月にはほぼ「空気がない」ため、宇宙の石がスピードを落とすことなく、まっすぐ地表に激突してしまいます。

言ってみれば、月は宇宙の「弾丸」を直接受け止めている状態なのです。

② クレーターを消す「風雨」や「地震」がほとんどない

地球では、雨が降り、風が吹き、植物が根を張り、地震が起きて、大地の表面が絶えず変化しています。こうした自然の営みが、昔できたクレーターの痕跡をどんどん消してしまいます。

一方、月は違います。天気もなければ水もなく、大地を変えるような活動も非常に乏しいのです。つまり、「傷跡を癒す力がない」ため、いったんできたクレーターはまるで封印された記録のように、そのまま残っているのです。

③ 重力が弱くて空気を引き留めておけない

月の重力は地球の約6分の1。これでは空気を引き止める力が弱すぎて、大気をまとった星のようにはなれません。空気がないという事実は、①と②の問題の根本にも関わっています。


地球との比較:同じ宇宙にあって、なぜこれほど違う?

以下に、月と地球のクレーターに関する違いを表にまとめてみました。

特徴 地球
大気の有無 あり(厚くて防御力高) ほとんどなし(防御力ゼロ)
クレーターの保存 風雨で浸食、地形が変化 長期間変化せずに保存される
現在のクレーター数 限られた数のみ確認 数百万以上が存在

月のクレーターは「宇宙の歴史書」

月面にある無数のクレーターは、太陽系誕生から今日までの「ぶつかりの歴史」を語ってくれる存在です。中には40億年以上前にできたクレーターもあり、現在でもそのまま残っているというから驚きです。

宇宙の大掃除が済んだ今とは違い、昔の太陽系は天体同士がぶつかるのが日常茶飯事。月の表面は、その荒々しい時代の名残を今に伝える「天然の博物館」なのです。


まとめ:クレーターが多いのは月が“むき出しの世界”だから

  • 月には空気がないため、隕石が直撃する
  • 風も雨もなく、クレーターが削れない
  • 重力が弱く、大気を保持できないため守られない

これらの条件がそろっているからこそ、月にはクレーターが大量に存在しており、しかも何十億年もの間、そのまま保存されているのです。

次に月を見上げたとき、そこにあるくぼみの一つひとつが「宇宙の記憶」だと思って眺めてみてください。きっと、今までとは違う視点で月を見ることができるはずです。

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