地球の一周は何キロ?赤道と極地で違う距離を詳しく解説
結論:地球の一周の長さは場所によって異なります。赤道を一周した場合は約40,075km、極を通る子午線に沿って一周した場合は約40,008kmです。この差は、地球が完全な球ではなく、赤道方向にふくらんだ「回転楕円体」であることが理由です。
地球は完璧な球ではない?その理由とは
私たちは地球を「地球儀」のような丸い形とイメージしがちですが、実際の地球はややつぶれた形をしています。この形状は「回転楕円体」または「扁球(へんきゅう)」と呼ばれています。
なぜこのような形になるのかというと、それは地球の自転による遠心力が働くためです。地球は1日に1回、自転しています。この回転によって、地球の中心から外側に働く力(遠心力)が発生し、特に赤道付近ではその力が強く働いて地球が膨らみます。一方、極付近では遠心力が小さくなるため、地球の形が上下に少し縮んだような形になるのです。
この形状の違いによって、地球の半径や一周の長さに差が生まれます。
- 赤道半径:約6,378.1km
- 極半径:約6,356.8km
半径の差は約21.3kmもあります。これが「赤道一周」と「極地を通る一周」の距離の差につながっているのです。
赤道一周はどれくらい?
赤道に沿った地球一周の長さは約40,075kmです。これは「赤道周囲長(Equatorial Circumference)」と呼ばれ、地球で最も長い一周の距離です。仮に歩いてこの距離を移動するとして、1日に20km歩いた場合、なんと約2,000日(5年半)もかかります。
ちなみに、民間のジェット旅客機(巡航速度約900km/h)を使って赤道一周をノンストップで飛行した場合、所要時間はおよそ44時間程度になります。もちろん、実際には燃料や航空路の都合でこのようなルートは存在しませんが、地球のスケールを体感するには良い目安です。
極地を通る一周の長さ
一方、北極と南極を通る子午線に沿った一周の距離は約40,008kmです。これは「子午線周囲長(Meridional Circumference)」と呼ばれ、赤道周囲長よりも約67km短くなります。67kmと聞くとそれほど大きな違いではないように思えますが、これは地球の形状を測る上で非常に重要な差です。
この長さは、主に地球の経度や緯度に基づく地図やGPS計算に使われることが多く、測地学や天文学の分野でも重要な基準となっています。
地球の一周にまつわる豆知識
1. 宇宙ステーションは地球を何周している?
国際宇宙ステーション(ISS)は、地球の高度400kmほどの軌道を1周約90分で回っています。つまり、1日でおよそ16周もしている計算です。ISSに乗っている宇宙飛行士たちは、1日に16回も日の出と日の入りを見ることになります。
2. GPSはどの「地球の一周」を基準にしている?
GPSや地図で使用される距離は、「子午線周囲長」や「地球楕円体モデル」に基づいています。現在の標準的な地球楕円体は「WGS84(World Geodetic System 1984)」というモデルで、これをもとに緯度・経度が定義されています。
3. 古代の地球一周の測定方法
紀元前3世紀、古代ギリシャの天文学者エラトステネスは、2つの都市(アスワンとアレクサンドリア)での太陽の影の違いを使って、地球の円周を計算しました。驚くべきことに、彼の計算結果は現代の数値とほとんど差がなかったとされています。
なぜ「一周の長さ」が重要なのか?
地球の一周距離は、航空路の設計、衛星軌道の調整、測量技術、地球温暖化の観測など、多くの分野で活用されています。例えば:
- 気象衛星が軌道計算に用いる基準
- 世界中の飛行機のルート計画
- 地球規模の地図作成や海底ケーブル敷設
また、近年では地球の形や一周距離の微妙な変化を通じて、地殻変動や氷河の影響など、地球環境の変化をモニタリングする重要な指標としても注目されています。
まとめ:地球の一周距離を知ることで見える世界
地球の一周は、赤道では約40,075km、極地では約40,008km。この違いは地球の形が完全な球体ではなく、赤道が膨らんだ回転楕円体であるためです。
一見些細な差に見えますが、科学、交通、通信、測量など、あらゆる分野でこの「一周の長さ」は重要な意味を持っています。私たちが普段何気なく使っている地図やGPS、その背景にはこうした正確な地球の寸法の理解があるのです。
地球の大きさを知ることは、単なる知識ではなく、地球との関わりを深め、広い視野を持つ第一歩とも言えるでしょう。